矢沢) でも聴き手って、誰々の何て名前のミュージシャンが弾いたとか弾かないとかマイケル・トンプソンがどうとか、そんなのどうでもいいとは言わないけど、わからないじゃない。
* 届かないですよね、そこは。
矢沢) 届かない。リスナーは誰が叩いたとか弾いたとか、そんなことは知らねえよ。楽曲としてはパーンッと聴いて『いい曲じゃん。泣けるね』とか『詞がいいね』とか『素敵!』とか思って聴きまくったあとに、クレジットを何気なく見て『へぇ~っ、ギターのマイケル・ランドウって何?……あ、矢沢はこういう凄いヤツらを起用してたんだ』とかが後にくるんならいいけどね。
ところが昔の矢沢は『どうだ?このギタリストが弾いてたんだぜ!こんなに凄いヤツが叩いてたんだぜ!こんなに有名なエンジニアがミックスしてるんだ!』と。これは作り手と聴き手の差ですね。それをある日、「ワオ!俺は何してたんだ?」と……
* 気づいちゃったんですか?
矢沢) 気づいた。バカまじめだったね。作るほうを突っ走って、聴き手が『おーい!』って向こうで呼んでるのに、全然聞いてなかった。まあ、だけどラッキーでしたよ。それに気づいた今、まだ現役でいられたっていうこと。それでグルッと回って、今、直球ど真ん中のストライクのサウンド作ろうって決めたんですよ。直球ど真ん中のストライクのサウンド作ろうって決めたんですよ。直球ど真ん中ってどういうサウンドかっていったら、理屈じゃないんだよ。誰々が叩いたとか弾いたとか、それは二の次、三の次。まずはリスナーが聴いて、わかりやすくて詞がよくて矢沢のヴォーカルのリバーブとコンプレッサーのかかり方がすごい気持ちよくて、スコーンと入ってくるヤツ?それでまた聴きたくなっちゃって、何度も聴いてるうちに『切ないね……』って言えるようなアルバムを作ろうって決めてました。
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